望まない妊娠を避ける為の避妊。
日本ではコンドームが主流ですが、海外では効果が高いとして“ピル”が使われる事が多いようです。避妊率は、いったいどれくらいなのでしょうか?
ピルの効果って?
日本では、元々、ピルは治療薬として認可され使用されていました。
しかし、避妊薬として認可するという事には抵抗があったようで、実際に認められ、厚生省(現在の厚生労働省)が解禁を行なったのは、1999年のことでした。
フランスなど、海外ではピルが避妊具の主流なのですが、日本では妊娠をコントロールするという考え方がまだまだ広がっていないのが現状です。
実際、ピルは『避妊具』という知識はあっても、ナゼ妊娠しないのか、その仕組みを知っている人は少ないです。
一般的に避妊に使用される低用量ピルというのは、『卵胞ホルモン』と『黄体ホルモン』という、本来女性の卵巣で作られるホルモンが少量ずつ含まれている錠剤なんです。この2種類のホルモンが、脳に指令を出して卵胞を熟成させるホルモンの分泌を抑えます。それにより、排卵をとめて精子が入り込まないような状態を作りだし避妊する仕組みなのです。
つまり、体を疑似妊娠のような状態にすることで、受精しないようにしているのです。
『毎月の生理を止める薬』と思っている人もいるようですが、決してそうではありません。
ピルの避妊率は99%以上?
コンドームの失敗率は3~14%と言われています。
正しく装着すれば失敗率が3%、装着方法を間違っている場合は14%になるのだそうです。
男性のコンドームの付け方が正しくなかった場合には、望んでいない妊娠をしてしまう可能性も意外に高い確率で起こるのです。だとすると、コンドームが主流の日本では“予想しない妊娠”というのが、かなりあるのではないでしょうか?
それに対し、ピルの失敗率はなんと1%以下!
避妊率99.9%とも言われているんです。
ですが、完璧という訳ではないので、コンドームと併用して使用しているという人が多いようですね。
実は、ある調査では、日本女性の“6人に1人”つまり“15.5%”が中絶の経験があるという結果が報告されています。年間に20~30万人の女性達が人口中絶を受けているというのです。
その中には、避妊をしなかった人、避妊に失敗した人など様々ではありますが、罪のない『新しい命を』消す事のないよう、避妊について考える大人が増えてくれることを期待したいものです。
避妊率の高い“ピル”を服用する際には…
最近は、通信販売でも手に入るようになってきたピルですが、本来であれば、専門医の指導を受けながら飲むべき“医薬品”です。
産婦人科で定期健診を受けながら、処方してもらい、安全に服用することをオススメします。
基本的には保険適用外となる場合が多いのですが、薬代は1ヵ月分で3千円程度のようなので、それほど大きな負担にはならずに購入できますよ。
処方されたら、体内のホルモン濃度を一定に保つ為に、毎日同じ時間に服用します。普通の薬のように、“食前や食後に飲む”という訳ではなく、“同じ時間に飲む”ことが効果的な薬なのです。
飲み忘れると効果が薄れてしまうので、そのような事がないように、食事の後や寝る前など上手く生活のリズムに組み込めるといいですよね。
また、最初に飲み始めてから、避妊効果が出るまでには1週間程度の日数が必要になります。それまでの間は、別の方法で避妊することを忘れないようにしましょう。
ピルには副作用がある?
ピルを服用すると『太る』とか『副作用が怖い』という先入観を持っている日本人は、未だに多いです。
確かに開発当時は、ピルに含まれるホルモン量が多く、副作用を引き起こしてしまう例もありました。
しかし現在は、中には吐き気・頭痛・めまい・不正出血など、軽度の副作用が出たという人もいますが、服用してからも、今までと全く変わらない生活を送っているという人もいるそうですよ。
副作用が出た場合でも、通常であれば症状は2~3カ月程度で自然におさまります。それ以降も続くような時は、その薬が体に合っていない事も考えられるので、すぐに担当医に相談するようにしましょう。
また、血栓症の既往がある場合や喫煙者は、初診時に医師に必ずその旨を伝え、必要であれば、事前に検査を受けるようにしましょう。
ピルを服用することで、血栓症のリスクが高まるので、とても注意しなければならないのです。その為、喫煙者が服用する際には、『禁煙』することが条件となる場合もあるようですよ。
避妊以外の効果も期待できます!
実は、ピルには避妊以外にも、様々な効果があるんです。
一例をご紹介します。
≪ピルの効果≫
■月経周期が規則正しくなる
ピルによって生理を誘発するので、月経周期を28日ピッタリに調整することができます。
■生理痛が緩和される
子宮内膜があまり厚くならないうちに生理が怒るので、排泄される量が減り、生理痛が軽くなったり、出血量が減少したりします。
また、生理前症候群が緩和されることも期待できます。
■肌荒れを防ぐ
女性ホルモンが含まれているので、ニキビや肌荒れを防いでくれます。
多毛症が改善されるという効果もあります。
■様々な病気のリスクが軽減される
骨粗鬆症・子宮内膜症・子宮体がん・卵巣がん・子宮外妊娠など発症頻度が低下します。
ピルの服用歴があると、妊娠した時に、赤ちゃんへの影響が心配という声を聞く事がありますが、そのそうな報告はありません。
また、妊娠を希望する時には、服用を中止すれば、3~4カ月程度で元の状態に戻り、妊娠する事が出来ますよ。
不妊治療などにも使用されている薬ですので、医師から処方されたものは安心して服用してくださいね。