アラゴン地方の特有のムデハル様式は、12世紀から17世紀にかけてイベリア半島で独自に発展しました。イスラムと西洋の技術や美学の融合から生まれたこの建築様式は、特にテルエル市でその魅力を最大限に発揮しています。UNESCOはこの独自の文化的遺産の価値を認め、アラゴンの代表的なムデハル建築を「世界遺産」として認定しました。この地域の建築は、中世スペインにおける異文化の平和的共存の象徴として、現代にその価値を伝え続けています。
これを読めば大体わかる。
「アラゴン州のムデハル様式建造物」の概要
アラゴンのムデハル建築
アラゴンのムデハル建築は、スペインのアラゴン地方で特有のムデハル様式に基づいて発展したもので、一部の代表的な建築物はUNESCO(ユネスコ)によって世界遺産として認められています。
歴史と特徴
12世紀から17世紀にかけて、アラゴンのムデハル様式はEbro(エブロ)、Jalón(ハロン)、Jiloca(ヒロカ)の谷間に位置する100以上の建築物を生み出しました。この様式の初期の表現は、王室に関連する宮殿建築と、レンガを主材料としてロマネスク様式を発展させたものとして二つの源流があります。
建築の構造的側面から見ると、アラゴンのムデハル建築は、特に鐘楼で独自の装飾的発展を見せています。鐘楼の構造は、イスラムのミナレットから受け継がれています。
ムデハル美術の発展とその価値
リコンキスタ(再征服)後のスペインでの特定の政治的、社会的、文化的な状況を背景に、12世紀にアラゴンのムデハル美術が発展しました。
この芸術はイスラム伝統に影響を受けながら、特にゴシックといった現代のヨーロッパの様式も取り入れています。
この美術は、西ヨーロッパやイスラムの文化だけに属しているわけではありません。
むしろ、中世のスペインにおけるキリスト教とイスラム、そしてユダヤ文化の平和的共存の証として存在しています。
アラゴンのムデハル様式は、特定の技術や建築理解の融合から生まれ、特にテルエル市で頂点を迎えました。
この様式は、12世紀のイベリア半島で出現し、レンガを主要な材料として使用しています。
ムデハルは、新しい形や構造を生み出すものではなく、ムスリムの影響を通じて西洋の様式を再解釈するものとして捉えられています。
「アラゴン州のムデハル様式建造物」を地図で場所を調べる
アラゴン州のムデハル様式は、スペイン北東部に広がるアラゴン地方を代表する建築様式で、特にエブロ川の谷とその周辺に集中しています。
この様式は、キリスト教徒とイスラム教徒が共存していたリコンキスタ後の時代に発展しました。
アラゴンのムデハル様式は、イスラム芸術の影響と、ゴシック様式などの西洋の建築スタイルの融合から生まれました。
テルエルやサラゴサなどの都市には、ムデハル様式の塔や教会、宮殿などが現存しており、この地域の独特の文化的背景を反映しています。特に、レンガを主材料として使用し、彩色されたタイルで装飾された建物が特徴的です。
「アラゴン州のムデハル様式建造物」の見どころ
サンタ・マリア・デ・メディアビラ大聖堂(Cathedral of Santa María de Mediavilla de Teruel)
テルエルの中心部に位置するこの大聖堂は、ムデハル様式とゴシック様式の融合が見られる美しい建物です。その美麗な塔や屋根、キンボリオ(円頂塔)は、アラゴン地方の建築技術の粋を集めています。
サン・ペドロ教会(San Pedro de Teruel)
14世紀の美しいムデハル塔がそびえ立つこの教会は、テルエルの街のシンボルともなっています。特に、緻密なレンガ作りの装飾や、彩色タイルの使用が特徴的です。
サン・マルティン教会塔(Church tower of San Martín de Teruel)
1315年に建設されたこの塔は、ムデハル様式の代表的なものの一つ。細かい装飾と色鮮やかなタイルが用いられており、見る者を魅了します。
サンタ・マリア教会(Santa María de Calatayud)
カラタユードに位置するこの教会は、美しいアプスや回廊、そしてムデハル様式の塔が見どころ。多様な文化の融合を感じさせる一つ一つの装飾が、訪問者に深い印象を与えます。
アルハフェリア宮殿(Aljafería Palace of Zaragoza)
サラゴサ市内に位置するこの宮殿は、イスラム、ユダヤ、キリスト教文化が交錯するムデハル様式の名作。中庭や壁面の装飾は、中世スペインの華やかさを今に伝えています。
サン・パブロ教会塔(San Pablo de Zaragoza)
この教会塔は、特に装飾の技巧とデザインの独自性で知られる。その美しさとともに、サラゴサの歴史的中心部の一部として、多くの観光客が訪れます。
ラ・セオ教会(La Seo de Zaragoza)
アプスやパロキエータ(小さな教会)、キンボリオなど、この教会には多くのムデハル様式の要素が織り込まれています。異なる時代の文化や技術が組み合わさった、まさに「融合の美」を感じることができる場所です。
「アラゴン州のムデハル様式建造物」の世界遺産登録について
「アラゴン州のムデハル様式建造物」は1986年にUNESCOの世界遺産に初めて登録されました。
ムデハル様式は、スペインにおけるキリスト教徒とイスラム教徒の文化の融合を象徴する建築様式です。スペインのレコンキスタ時代(8世紀から15世紀)に、キリスト教徒によって再征服された地域で発展しました。
イスラムの芸術や技術とキリスト教の伝統が組み合わさった結果、この独特な建築様式が生まれました。
1986年の初回登録後、この遺産は拡張の対象となりました。具体的には、2001年に遺産の範囲が拡張され、アラゴン州内のさらに多くのムデハル様式の建築物や遺跡が世界遺産のリストに追加されました。
参考文献・参考サイト
Mudejar Architecture of Aragon – UNESCO World Heritage Centre
https://whc.unesco.org/en/list/378/
Mudejar architecture in Aragon in – | spain.info
https://www.spain.info/en/places-of-interest/mudejar-architecture-in-aragon/
Mudéjar architecture of Aragon – Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Mud%C3%A9jar_architecture_of_Aragon
アラゴンのムデハル様式の建築物 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%83%A0%E3%83%87%E3%83%8F%E3%83%AB%E6%A7%98%E5%BC%8F%E3%81%AE%E5%BB%BA%E7%AF%89%E7%89%A9