卵巣嚢腫といわれたら手術は必要?入院期間はどれくらい??

最終更新日:2015/09/11

『卵巣嚢種』とはどんな病気なのでしょうか?
発症したら、妊娠できなくなるの?手術をしたらどれくらい入院しなきゃいけないの?
そんな疑問にお答えします。

卵巣嚢種とは?

『卵巣嚢種』とは、卵巣の中に液体や脂肪が溜まってしまう腫瘍のことです。
腫瘍の中身によって、以下の4種類に分けられています。

≪漿液性嚢腫≫

卵巣から分泌される漿液という透明の液体が溜まったもので、年齢を問わずに発症します。卵巣嚢種で最も多いタイプです。

≪粘液性嚢腫≫

ゼラチン状のネバネバした液体が溜まったもの。閉経後の女性に多く、肥大してかなり大きくなります。

≪皮様性嚢腫≫

胚細胞に、歯や毛髪などの組織が含まれたドロドロした物質が溜まって出来た腫瘍で、20~30代に多い疾患です。

≪チョコレート嚢腫≫

子宮内膜症が卵巣内に発症したもので、これも20~30代に多い病気です。月経の度に出血した血液が溜まり、嚢種が作られていきます。

卵巣嚢種の原因と症状

チョコレート嚢種は、子宮内膜症が原因で発症します。
子宮内膜症とは、子宮を覆う内膜組織が他の部位に飛んでそこで増殖と剥離を繰り返す病です。つまり、子宮以外の場所で子宮の中と同じように月経が起こるのです。
卵巣の中で発症すると、剥離した細胞や血液は、出口がないので卵巣の中で溜まってしまいます。これがチョコレート嚢種というわけです。

それ以外の卵巣嚢種については、交感神経の緊張やストレスが原因ではないかと考えられていますが、現時点でははっきりとした原因がわかっていません。

初期の段階では殆ど自覚症状がない為、嚢種がある程度大きくなるまで気づかないという場合も少なくありません。こぶし大くらいになると、触って気づく人もいるようですが、多くの場合は、がん検診や妊娠時の検査などで発見されるようです。
肥大してくると、月経の際にいつもより痛みが強かったり、月経以外の時でも、腰痛や腹痛といった症状が出てきます。また、嚢種が膀胱や腸を圧迫して頻尿や便秘などの症状が出ることもあります。

卵巣嚢種の治療法~摘出手術は必要なの?~

チョコレート嚢種は、閉経後に女性ホルモンの分泌がとまることで徐々に小さくなっていきます。他の嚢種については、自然に消えるということはありません。

しかし、全てを摘出しなければいけないという訳でもありません。
2~3cm程の小さい嚢種のうちは、経過観察になることが多いです。

嚢種が大きくなると、卵巣の根元がねじれてしまう『茎捻転』の危険が出てきます。『茎捻転』は、吐き気や出血や発熱などの症状があり、ショックで意識を失うこともあるほどの激痛を伴います。ねじれたところで血行が途絶え、卵巣が壊死する可能性もあることから、発症すると緊急手術になってしまいます。
その為、5~7cmあたりに成長すると、手術での摘出を考えなければいけなくなります。

手術する場合、どれくらい入院するの?

『卵巣嚢種』の大きさや状態によって、嚢種だけを切除する場合や、片方の卵巣を摘出する場合、卵管まで全て切除してしまうという場合など、手術の内容は様々です。

妊娠を希望する場合には、出来るだけ卵巣を残す方法で手術が行われます。卵巣がひとつ残れば、妊娠は可能なので、手術をしたら必ず妊娠できなくなるということではないのです。
しかし、残った卵巣から再発する可能性もあるので、50歳以上の場合や本人が希望する場合には両方の卵巣を取ってしまうこともあります。

手術方法もいくつか種類がありますが、比較的小さな嚢種であれば内視鏡を使った『腹腔鏡下手術』が可能です。この方法は開腹手術と比べると、傷も小さく身体への負担も少ないのです。回復も早いので、入院期間は通常4~5日程度、長くても1週間程度ですみます。
しかし、専門的な技術が必要となるので、希望する場合は専門医がいる病院を受診したほうが安心です。

嚢種が大きいなどの理由で『腹腔鏡下手術』では無理な場合には、開腹手術をおこないます。珍しい手術ではないので経験豊富なお医者さんも多く、「開腹する」といっても、傷跡が目立たないように開腹してくれる病院も増えているようですよ。
一般的に開腹手術の場合には、10日から2週間程度の入院が必要となります。

妊娠や再発のことを考慮して、どのようにするか担当の先生とよく相談し、納得したうえで手術をおこなうことが重要になってきますね。

入院中や退院後に気をつけることはある?

卵巣の手術をすると、ホルモンバランスが崩れることがあります。
特に、閉経前に卵巣を2つとも切除したという場合は、更年期と同じような「めまい」や「のぼせ」といった症状が急に現れることもあります。

「傷口が治ったから、もう大丈夫」というものではなく、ホルモンバランスの崩れによって襲ってくる体調不良から回復するまでに時間がかかる場合があるのです。嚢種だけを摘出した場合でも、同じような体調不良や生理不順が続くことがあります。

精神的に不安定な時には、家族など周囲の支えが必要になることもあります。一人で頑張りすぎずに、無理せず『頼る』ことも回復につながる治療になることがあるのですね。また、ホルモンバランスの乱れを整える為に“バランスの良い食事”“適度な運動”“規則正しい生活”を心がけることも大切です。

アバター

作成者: LILY

こんにちわ。LILYの編集長です。 最近Huluを自宅に導入してみました。海外ドラマにすっかりハマってしまい、毎晩眠るのが遅くなっています。海外ドラマで寝不足が続きそうです。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA